活動状況の報告


2000.12.16全体ミーティングの報告(当日のレジュメ+話し合いででた主な意見)WEB版

「有償介助について」の学習会

文責:浅野

□今回の学習会の目的

・有償介助に関する理解を深める
・有償の意義・目的を一人ひとりが考える機会をつくる
→今後、新しい運営メンバーだけで必要な決定が出来るようにする
(そしてそれを引き継いでいけるようにする)



■はじめに

【「介助料」というものがいかにして現れたのか】

 この国で、初めて肢体不自由の重度障害者が施設を飛び出し地域社会の中で生活を始めたのは、70年代初頭のことである。それまでも軽度の障害者で自立生活を営むものはわずかながらいたが重度障害者になると、介助の問題がネックとなり、そのような「自立」は非常にハードルの高いことだった。ところが70年代にさしかかると、学生運動の高揚に触発され障害者の運動がまき起こる。とりわけ肢体不自由の障害者のグループ「青い芝」が、健常者の価値観を中心に築き上げられた社会に対して過激なまでの異議申し立てを行っていった。
 障害者運動の一つに障害者施設内の処遇改善を要求する闘争があった。その後、次第に施設内の処遇改善を求める方向から、もっと広く社会の中に障害者が生活していけるような基盤作りを求めていく方向にシフトしていった。施設を飛びだした障害者達が、地域社会の中でアパートを借りて生活を始めようとしたとき、介助をどうするかという問題をクリアしなければいけなかった。不安定なボランティア体制の上に自立生活を築いていくことはできない。そこで、彼らは、「自分で探した介助者に介助料を出せ」と、 行政に要求した。肢体不自由者を中心に、2年間に及ぶ運動が行われた結果、この要求はかなった。また、その後も年々、増額をかちとっている。もっとも、介助料に対して、いくつかの異論が障害者の間に存在していることもまた事実である。それは介助者とは何か、という話に関わってくることだがここでは触れない。
*参考資料:現代思想1998年2月号/「介助者とは何か?」究極Q太郎/p176

■歴史:実現する会の有償介助への取り組み

○1996年1月〜97年3月 
 つくば市上横場で有償「定期」介助が行われた。有償で介助をすることの利点を知る。

○1998年春ごろ
 折本さんの「生活保護・他人介護料」の増額を申請

*それまで折本さんは生活保護と約7万/月の他人介護料をもらっていた。
増額というのは、県知事承認約3万/月と厚生大臣承認約5万/月の計8万のことを指す。
(図:折本さんの生活保護 参照)

○1998年春〜秋 
 市の福祉事務所がの正確な情報を把握していなかったため、かなりの催促や粘り強い交渉を重ねた末、ようやく秋ごろに出る見込みとなった。

○1998年11月 実現する会で「折本さんの有償介助の実施要綱」が案として出される。

○1998年12月 折本さんの「生活保護・他人介護料」の増額が決定した。

○1999年1月 「折本さんの有償介助の実施要綱」が決定した。

○1999年2月  折本さんの有償介助がはじまる。

その後多少の修正を加え現在に至る。(この続きは12/23の有償見直しにて)


↓ちょっと復習

■「生活保護」とは?

 生活保護法が1950年に制定された。生活保護制度は、何らかの原因で貧困に陥り、その利用しうる資産、能力等を活用してもなお生活に困窮するものに対し、公の責任で健康で文化的な最低限度の生活を保障し、かつ自立の助成を目的にしている。生活保護の扶助には、生活、住宅、教育、医療、出産、生業、葬祭、介護の8種類ある。国が定めた基準に基づき、世帯の家族数、年齢、健康状態などにより、計算される月ごとの最低生活費と、世帯の収入を比べて世帯の収入が最低生活費より少ない場合に、その不足する部分について国からの保護を受けることができ、その額は13〜20万円弱である。折本さんの場合は、約15万円である。


 

 


■「他人介護料」とは?

 身体介護が必要な人に対し、介助者に支払う介助料を国が保障するもので生活保護に加算される(生活保護をうけていないと利用できない)。現状(平成12年度)は、約80都道府県・市(政令市・中核市)中、41都道府県・市でしか大臣承認を受けている人がいない。利用者0人の県・市があるのは、申請方法(又は制度そのものの存在)が知られていないためである。実際つくば市では折本さん達が申請をするまで、大臣承認の先例はなかった。

2000年度折本さんの場合は・・・
・一般基準:72,200円(比較的とりやすい)
・県知事承認:上限が108,300円<約3万円の増加>
・大臣承認(茨城):上限が157,800円<約5万円の増加>

[▲図:折本さんの生活保護]  


■お金の流れ


↓ここからはみんなで話し合って出された意見を要約したものです。

■有償の意義・目的

  1. 障害者にとって

    1. 介助量の増加
      1. 介助に入ってくれる人が増える
      2. 介助者を探しやすい
      3. 探す手間がはぶけるため、探す時間を自分の時間にできる
      4. 介助が安定していないと、会った人全員にあいさつがわりに「介助入ってくれない?」と、聞かなくてはならず、介助者以外の人間関係が広がらない

    2. 介助の質の向上
      1. 限られた介助者ですむと、新しく説明する手間がはぶける
      2. 介助者の総数が増えるから、介助者を選べる

    3. 障害者・介助者関係
      1. 精神的にラク
      2. 我慢しなくてすむ
      3. 自分のいいたいことが言えて、遠慮がいらない
      4. 人間関係での心のスイッチの切り替えが障害者側でできる
      5. 「介助」の枠を越えなくてすむ
        1. →介助者:「友達に会う感覚で介助に入れます」
        2. →障害者:「えっ、友達みたいにつきあわないといけないの・・」

    4. 上記のことによって、生活の質が向上する(自立生活の向上)

  2. 介助者にとって
    1. 時間を介助に使いやすくなる
      1. 介助している分の時間が有意義になる
      2. 介助時間としてより多く使えるようになる

    2. 意識
      1. 有償であることで問題意識が持てる
      2. 「やってあげる感覚」が有償であることで否定できる
      3. ボランティアは当人の情熱に任せるが、有償では金銭的に残るのでありがたいし責任も大きい
      4. 我慢できる(バイト感覚?)
      5. 責任が出る→遅刻してはいけない、etc..
      6. 嫌なことでも断れない=やろうとする

    3. 経済面
      1. 介助に入った形として残る
      2. 社会人としての生活費の助けになり、精神的にもラク
      3. 入ろうかどうか迷っている人の後押しになる

  3. 介助の当事者だけでなく、社会全体にとって 
    1. 社会にアピール
      1. 自立する障害者が増える
      2. 介助の意義を社会に認められる
      3. 障害者に対する興味が増す
      4. 障害者が世の中の流れをつくっていく

    2. 社会で支えていける
      1. お金の出所が国=税金であること
      2. 直接参加の介助者だけでなく、間接参加できる
        1. 忙しい人でもお金によって参加できる
        2. 介助に入ってなかった人も参加し出す
      3. 社会のひとりひとりが障害者を支える意識が持てる
      4. 社会的に認められた財源により実現する会はやっていける
      5. 目に見える形として税金が使われていることを実感できる

■有償の問題点

    • 自分は、お金に見合った分のサービスを提供しているのか?
    • バイト感覚のみの心情になるのでは困る(お金欲しさのためだけに)
    • ↑やるべきことをちゃんとやるならそういう心情でもいいんじゃないの?
    • 国はお金を払って終わっているという状態にとどまっている。
    • 無償あるいは安い有償で介助を請け負う実現する会のような存在は、国にとって都合のいいものであることも確か。

<学習会の感想>

とりあえず今回は、みんなの有償介助に対する考えや思いをおおまかにすくうところまで出来たと思います。これからの課題として、特に、有償介助の問題点として出た意見をもとに、もう少しつっこんだ議論が出来る場が必要だと感じました。この問題点のところで、それぞれの考え方の相違がでるため、議論のしがいがあるところなんですが、残念ながら今回は、学習係の不手際もあり、時間が十分にとれなかったことを反省しています。今回出された意見を生かし、より発展した議論を、次回の有償介助の学習会(既会員向け)で行いたいと思っています(次回の日程は未定)。今年の新入生向けの有償介助に関する学習会は、5月くらいに行う予定でいます。



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このページは2001年1月24日に初めて公開し、
2001年2月13日に最新の更新を行いました。