・講師:三好誠三氏
知的障害者の親の会で30年以上働いていて、現在水戸事件にも関わっている。
・参加者:22人
・当日配布された資料:
(1)三好さんのレジュメ「地域でくらす」
(2)「wave 第28号 -編集◇水戸事件のたたかいを支える会・全国事務局-」
1)三好さんのお話(一部抜粋)
「知的障害者の生活の場の現状」
- 18歳以上の知的障害者の数は、全国で30万人いることが1995年の調査で分かっています。そのうち、施設にいる人は全体の1/3をしめる10万人、小さなところを含めると15〜16万人いるということです。一方、自立生活している知的障害者の数は約1万人、グループホームで生活している方も約1万人です。地域で暮らすためには、グループホーム又はアパートなどをかりての自立生活という方法がありますが、制度上の地域の格差があります。
「知的障害者の自立生活を阻む問題点について」
現在の行政からもらえる公的負担は、入所更生施設が301059円/月に対し、グループホームでは、中軽度なら65900円/月、重度でも131800円/月で、これではグループホームで24時間専属で働く人を見つけるのはとてもじゃないけど困難な状況。加えて、現在の動きとしてこれまで国や県で責任を負ってやっていたことが、これからは市町村が請け負う方向になるだろう。そうなると、サービスを受ける権利は金で買うということになるが、障害基礎年金だけじゃ自前で払えと言われても無理というもの。
知的障害者が公営住宅を借りようと思っても法的に認められてないので自立生活が一人で出来ない。今、申請してますが・・
「これからの課題」
知的障害者の地域生活について考えるグループをどうつくっていくかが課題。運動がないかぎり、突破口を開くことはできない。知的障害者も24時間ヘルパー支援、特に自薦ヘルパーの制度が利用できるように行政と交渉し、闘っていく必要がある。そのために、仲間を増やすことが今必要なことです。
2)質問
(一部紹介)
上渕:親が、知的障害者の子供を40、50歳になっても手離さないのは、(子供の)自己決定権を奪っていることになると考えますか?
三好:「自己決定」という言葉は、自分で生きていくうえでの選択という意味で使われるというよりは、行政が自分たちの責任を逃れるために個人に責任を負わせるために使われる言葉だとわたしは考えています。親を責めることは一概にできない。制度や環境が整っていないため、安心できるところがない。地域に住ませるようにアプローチがないと。手放せない状況に追い込んでいる。
沼尻:(知的障害を持った)子供を普通学級にいれたいという親よりも養護学級を望む人がまだ多いと聞いたのですが、どうなんでしょう。
三好:確かに育成会でも養護学校の流れがまだ強い。しかし、以前は養護学校へ一丸となっていたけれど、最近では普通学級や自立生活を認める流れも見られるようになったのではないかと思う。親の意識の変革もこれから課題となると思います。
知的障害者の普通学級の入学を支援している親御さん:まわりにいる健常者が、小さいころから接したことがないから、将来地域で生活していくにも、どういう接し方をすればいいか分からないんだと思います。だから、わたしの息子は普通高校に入れました。育成会の人達にもそういう支援についてやってほしい。
三好:個人的にもそう思っています。
浅野:身体障害者の介助をやっていて、障害者も健常者と同様にリスクを伴う選択をする権利があるんだというようなことを聞かされますが、知的障害者の介助の場面で、リスクを伴う行動を選択しようとしている(と見受けられる)ときに、介助者としてどの段階で、どの程度、口出ししたり、介入したりすればよいと考えますか。
三好:明らかにだまされたり、生命に危険が及ぶようなときはもちろん、言ってあげないといけないと思います。ケース・バイ・ケースのことが多いでしょうね。
3)感想
(一部紹介)
- 身体障害者の介助は、基本的に言われたことをするということでいいけど、知的障害者の介助はそれと同じやり方ではうまくいかないのかなあと思いました。
- 僕も、知的障害者の介助について、具体的にどういう支援ができるか考えていきたいと思いました。
- 知的障害者の自立生活のことはあまり考えることがなかった。
- これからも、取り組んでいきたいテーマだと思いました。