〜さすらいの語り部たち〜 6月のテーマ:「懺悔」

●加藤行一さん



 突然何か書いてくれと言われてテーマが「懺悔」・・・。うーん、難しいと思いながらテストなどですっかり書くのを忘れていた。もう期日は1週間位過ぎてる。ホームページ班の方々ごめんなさい。で、終わるわけにもいきませんよね。

 なんだろう、とりあえず謝りたいこと、なにかあったかな?なんて過去の体験を思い出していたら、ありましたね、やたらと記憶の片隅に残っていたことが。今でも時々思い出すたびには、いつだったかははっきりしないけど小学校5年生か6年生の時だったのは分かる。懺悔というか謝りたい相手はその時の担任の大森先生。

 もう、どうしてそうなったとか、経緯とかなんかは全く覚えてないけど、多分僕のクラスのリーダー格だった、男の子と女の子が先生に対してなにか気に入らないことでもあったのかな。まあ、いいやとりあえず、何か気に入らないことがあったらしく、リーダー格の二人と後何人かは、先生を困らせてやろうとして、クラスのみんなに授業中のある時間になったら、みんなで同時に教科書を落として授業を妨害しようと言い出したみたいで、みんな、いやいやかどうか知らないけど、そうすることになった。とりあえず、僕も別に自己主張をするような子供でもなく、それに参加しなければ何か言われるかも知れないから、言われた通りにすることにした。

 何時だったのかな、午前中、午後そんなことは全く覚えてないけど、とりあえずみんなが教科書が同時に落とした瞬間の状況・音はやたらと覚えている、自分がどの席に座っていたかも覚えている。そしてしばらくの沈黙。先生は何か授業に不満があれば、はっきりいいなさい、それまで授業はしないからって言って椅子に座って、それっきりずっとだまりこんで、どれ位、沈黙が続いてたのかな、リーダー格の女の子が泣きながら謝りだして、それから計画した何人かがみんなで謝って、その子達と先生が少し話をして、また普段通りに戻った。

 あれから、思い出してみると、僕は授業の妨害を本当はしたくもないのに反対するのでもなく、言われたままに教科書を落とし、その後、先生に直接謝るのでもなく、なんか一番悪いことをしたなと考えてしまう。計画した子達は、直接謝っただけ偉いなと思う。先生は、なんだろう、なぜ人をいじめてはいけないとか、傷つけてはいけないとか、命は大切なものだとか、ただ言うのではなくて、きちんと理由(先生の持論だけど)を話してくれた、初めての先生で、しかもけっこう分かりやすく話してくれたので僕の中ですごい人だなという記憶があるだけに、思い出すたびに先生は今どうしているのかな?会えたら、一度きちんと謝りたいなと考えてしまう。

 高校に行くようになってから、小学校に久しぶりに行った時は、もう、転任したあとだったから、その後はさっぱり知らない。

 とりあえず、懺悔っていわれて思い出したのは、これかな。あー、なんか久し振りに先生の口癖を聞きたくなった。              

(完)


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このページは2001年7月9日に初めて公開しました。