〜さすらいの語り部たち〜 8月のテーマ:「あの夏の日」 ●市川晴美さん |
「ふりふりワンピース」市川晴美
あれは、小6の夏休みのことだった。 地元の英会話教室のサマーキャンプに行った。茨城の各地区の教室の子と交流という目的もあったのだろう。当時それを知らない私は、後にそれが落としあなになるとは思ってもいなかった。 集合地からバスに乗って行って、目的地の五色沼(福島)S近のホテルに着いた。集合地で顔を合わせた同じ班の子と、部屋で再び会う。(五人だったかな)仲良く話をしている子もいれば、黙ってポケットゲームをしている子もいる。私は・・・。同じ教室の子がいなかったのだ。だからボーッとしていた。夕食もお風呂もつまんなかった。だって、何話していいのかわからなかったもの。ハァーッ、あと3日あるんだ、そう、布団の中で考えていたらシクシクと泣いていた。「あっ、晴美が泣いている」「い、家に帰りたいよぉー」びぇーっと泣いていた。 次の日から、前の日の夜の事もあってか声をかけてくれる子がいた。翌朝は、早朝からレッスンだった。先生からレッスンの時に次の日のキャンプファイヤーの出し物はエーデルワイスだと言われ、(先生が勝手に決めたのだと思う)楽章を渡され、合唱した。何しろ、そのキャンプファイヤーは、順位がつくものだから皆気合が入っている。皆で特訓していた。いよいよ、本番になった。私はフリフリのワンピースを着てたった。他の子は、普通のスカートだった。ういてる・・・。皆無難に唄ったが、司会役の先生が「あまり聞こえなかったわね」と結局わたしたちは入賞を逃した。 その日の夜は、同じ班の子に、『市川晴美コンサート』をやるといつのまにか?約束をしていたので、ふりふりワンピースを着て、松田聖子の白いパラソルを唄った。私は唄うことは好きだった。同じ班の子は、気を使ってやってくれたのかもしれない。でもこのキャンプで一番よかったことは家に帰ってきたことである。
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